あなたは、「裸の王様」の話をご存知でしょうか。
「バカ者には見えない服」を着ていると思い込んでいる王様に、本当は裸であると誰も言い出せない話です。
このような心理現象を集合的無知、または多元的無知と言います。
これは常日頃から多くの人が陥っている集団催眠です。
今回はそんな集合的無知について、解説します。
集合的無知(多元的無知)とは?
集合的無知(多元的無知)とは、自分自身は「ある条件」を否定しながらも、自分以外の大多数の人はその条件を受け入れていると思い込んで、それに沿った行動をしてしまう状況を指します。
集合的無知(多元的無知)の仕組み
なぜ、このような事が起きるのか見ていきましょう。
集合的無知(多元的無知)は、次の2つのプロセスを経て引き起こされると言われています。
- 「他人の行動」は、その人が好きで行なっているものと思い込み(認知バイアス)が起きる
- 自分は嫌でも「皆が行なっている=正しいこと」と思い込み、皆の行動に合わせてしまう(同調性バイアス)
あなたも、少なからずともこのような経験をしたことがあるのではないでしょうか。
このような現象は「社会的証明の原理」とも呼ばれます。
集合的無知(多元的無知)の事例
ウェルテル効果で自殺者が増える!?
事例の一つとして、ウェルテル効果が挙げられます。ウェルテル効果とは、自殺の報道がされると、その報道の後に自殺率が上がるといったものです。
これは先述したとおり、集合的無知による同調性バイアスが働くためと言われています。
コロナ禍前と後での飲み会の扱い
コロナ禍になる前は、飲み会に行くのは当たり前で、行かない人はおかしい、というような雰囲気はありませんでしたか?
コロナ禍の今では逆に、飲み会を開催する人はおかしい、と言ったような雰囲気になってきております。
「過半数の考え方=常識」なのです
これも集合的無知の影響によるものです。
集団いじめ
集団いじめもそうです。影響力のあるリーダー格(権威ある者)が行うことで、本当はやりたくないのに、それが正しい行為だと錯覚して周囲もいじめに加担して、集団いじめに発展します。
付き合い残業
付き合い残業も集合的無知の影響によるものです。
皆は本当に残業を行いたいのでしょうか?
部署長であるリーダーが積極的に残業を行うことで、「残業=評価される」と勘違いした周囲が仕事もないのに残業を行います。
本当は「やりたくないのに」です。
「残業していない=仕事ができない」と思われたくないために頑張ってしまうのです。仕事がないにも関わらず。
これは非常に非合理的な行動ですよね。
まとめ
- 集合的無知(多元的無知)とは、大多数が受け入れていると思われる行動に合わせてしまう行為である。
- 集合的無知(多元的無知)は思い込み(バイアス)によって引き起こされる。
- 集団いじめや、付き合い残業も集合的無知(多元的無知)によるもの。