【保有効果】あなたが無駄な買い物をするのは、なぜなのか

自分が持っているモノに愛着を感じ、ボロボロになっても捨てられない・・・。

あなたもこんな経験があるのではないでしょうか。

または、今まさにこの状況に悩んでいないでしょうか?

これは行動経済学における「保有効果(授かり効果)」によるものです。

今回はそんな保有効果についてお話しします。

保有効果を知ろう

まずは、保有効果とは何なのか、なぜ保有効果が働くのかを知っていただきます。

保有効果とは?

保有効果とは、自分が所有したモノに対して高い価値を感じ、手放す事ができなくなる心理現象です。

例えば、あなたにも小学生の時に使っていた筆記用具や、ボロボロになった昔のプリクラなど、ずっと捨てられないものがあるのではないでしょうか。

それらを捨てられないのは、あなたがそのモノに対して高い価値を感じているからです。他人から見たら「ゴミ」であっても、あなたにとっては保有効果により高価なモノに感じられるのです。

また、保有効果は、別名「授かり効果」とも呼ばれますが、本記事では「保有効果」に統一して解説していきます。

保有効果が機能する理由

なぜ保有効果は働くかというと、以下のプロセスにより保有効果が機能するからだと考えられています。

  1. 「自分の所持しているモノに愛着を感じ、高い価値を感じる」
  2. 「自分の価値観=他人も同じ価値観であろう」
  3. 「自分が高い価値を感じているモノを失いたくない」

保有効果の実験

行動経済学者であるダニエル・カーネマン氏は「マグカップの実験」を行なったとされています。

マグカップの実験の内容は以下の通りです。

まずは被験者である学生たちをAグループとBグループに分け、Aグループに大学のロゴ入りのマグカップをプレゼントします。

次に、

Aグループには「いくらなら、Bグループに売るか?」

Bグループには「いくらなら、Aグループから買うか?」

と尋ねました。

結果は以下の通りです。

  • Aグループ:7.12ドルなら売る
  • Bグループ:2.87ドルなら買う

通常6ドルで売られているマグカップですが、結果は予想に反して、売り手が買い手のつけた値段の2倍以上の高値をつけました。

この実験によって、保有効果が証明されたのです。

私たちの生活の中に潜む保有効果

保有効果は私たちの生活の中で頻繁に使われています。その一部をここで紹介しましょう。

返品補償

「いかなる理由でも1ヶ月以内であれば返品可能です!」

こんな謳い文句に誘導されて、ついつい購入を決めてしまったことはありませんか?

そして、気に入らなくても一度所有したモノだし、めんどくさいので返品をしない・・・。

販売側は、こういった保有効果が働くのをわかっていて、返品補償を謳っているのです。

試着

「この服似合うかしら?」

そう思って店頭で試着した服・・・。

購入する確率が非常に高いのだそうです。

これも保有効果により、「一度身につけた」という心理が働くためと言われています。

自分で組み立てるタイプの家具

IKEAの家具は、購入した人が自分で組み立てる仕様となっています。

これは、在庫時の空間削減や配達コストを抑えるといった目的もありますが、顧客自身が組み立てたという満足感による愛着を持ってもらうためとされています。

この愛着付与により顧客満足感を高めるやり方は「イケア効果」とも呼ばれます。

もったいない症候群(貧乏性)

もったいない症候群とは、モノに対する執着心が異様に高く、モノを捨てられない状態の事を指します。まさに、保有効果の奴隷と言える状態です。

サブスクリプションという永続トラップ

アマゾンプライム会員などのサブスクリプションに入っている方も、保有効果の影響を受けています。

「一度会員になったら退会したくない」という心理が働き、使っていなくても「なんとなく」会員を継続してしまうのです。

フリマアプリでの高値販売

メルカリなどのフリマアプリで気づいたら相場よりも高値で販売していた、または販売している人を見かけたことはありませんか?

これも保有効果により、自分が一度保有したモノに対して高い価値を感じているために起きる現象です。

元恋人への未練

元恋人に未練がある人もいるでしょう。終わった恋なのに、たまにストーカーレベルにも発展する人がいます。

なぜこのような事が起きるかというと、一度保有(自分の恋人)したのに、別れた(手放した)ためです。

これも保有効果の影響を大きく受けた一例となります。

保有効果の対策

保有効果とは、自分が所有したモノに対して高い価値を感じ、手放す事ができなくなる心理現象という説明をしてきました。

そんな保有効果の犠牲にならないために、私たちにはどんな対策ができるのでしょうか。

それは「本質的な目的」を見失わない事です。

何かを手に入れるときも、何かを捨てる時も、あなたの本当の目的を達成するためなら、それは「経費」なのです。

そんな考えを持って行動すると「保有効果」から抜け出して、本当の目的を達成することが出来ますよ。