【一貫性の原理】物事に執着したり、不要な買い物をするのは何故?

ナメリーヌ
0円キャンペーンに惹かれて、新しいスマホを契約したんですけど、いつの間にかネット回線も新規で契約させられて、引くに引けない状態にされてしまいました・・・
ヒカリ
ローボール・テクニックを使われているかもね、こういったテクニックには一貫性の原理という心理が深く関わっているから解説するね

一貫性の原理を知ろう

一貫性の原理とは?

一貫性の原理とは、自分の言動に対して、一貫した態度をとりたい(他人からもそう見られたい)という心理です。

人は、自分の言動に対して、自身の内から込み上げる想いからも、周囲からも、一貫性を保つように圧力がかかります。そのような圧力によって、私たちは自分の選択を正当化して行動するようになるのです。

なぜ一貫性の原理が働らくのか?

なぜ、このような心理が働らくのか。それは、人が一貫していない態度に対して「望ましくない」と感じているからです。態度が一貫した人に対しては、「立派な人」「男らしい」「論理的」「理性がある」といった感情を抱くのではないでしょうか。

一方、態度が一貫していない人に対してはどうでしょうか。「支離滅裂」「キチガイ」「人によって態度を変える」「何も考えていない」などの感情を抱きませんか。これらの感情を「自分自身」も「他人」も持っているからこそ、この心理が働らくと考えられています。

「約束」は一貫性の原理を強力にするキーワード

一貫性の原理が働らく身近な行動を一つ紹介します。

それは「約束」です。

上司「報告書は何時に提出できる?」

部下「11時までには必ず提出します」

上司「そうか、約束だぞ」

このようなやりとりがあった時、部下は「11時までには必ず提出します」と自ら決断しています。それに対して上司は「そうか、約束だぞ」と、それを「約束=破ってはならないもの」と認識させており、部下の心理に対して、一貫性の原理が働らいているのです。

もし、この約束を部下が守れなかった時、少なからずとも上司からの信頼を失うことでしょう。上司がこの約束をどうとも思っていなかったとしても、部下からしたら「そう思われているかもしれない・・・」という心理が働き、結局は一貫性の原理に支配されてしまいます。

一貫性の表裏

ここでは、一貫性の表裏について紹介します。一貫性の原理をきちんと理解すれば、後悔しない決断や、労力をかけない判断が可能となります。

一貫性は、利便性に優れている

一貫性の原理が利便性に優れています。私たちが後悔しない決断をするためには、自分の頭で考え、自分の意思による選択をしなければなりません。しかし、世の中があまりにも多くの選択(人は1日で3万5千回の決断をしていると言われている)に溢れており、一つ一つを選択していたのでは、思考が追いつきませんし、本当に大事な場面で脳が疲れてしまい、判断を誤ってしまいます。

そこで、一貫性の原理を利用するのです。重要でないものに対し、選択しなければならない時は、自動反応(カチッ・サー効果)を一貫性の原理によって組んでおくのです。

どういう事かと言うと、「会社の備品を購入する際に、何種類か色がある」、この場合の選択としては、「会社の備品は『白』で統一する(なぜならオフィス内の備品は全て白だから)」としておけば、自動的に白い備品しか選ばなくなり、選択を一つ減らすことが出来ます。つまり、悩まずに時間を無駄にしない、という事です

このように、ちょっとした選択を自動化しておけば、この複雑化した世の中が少し生きやすくなるのではないでしょうか。

いちいち選択していたら疲れますしね・・・。

一貫性に拘るのは、無意味である

あなたは、何か物事に執着したり、自分の意見を通すために、他人の意見を否定したりしていませんか?

これは先述のとおり、一貫性の原理に支配されているからです。

そもそも正しい選択や考えなど存在しない、そう考えれば、自分の意見を何がなんでも主張することに拘ること自体がナンセンス(無意味)だと思いませんか?

一貫性の原理が使われているテクニック

一貫性の原理が利用されているテクニックを紹介します。

フット・イン・ザ・ドア

小さな頼み事(要求)を聞いてもらい、最終的に大きな頼み事を聞いてもらうテクニックです。

相手の小さな頼み事(飴をちょうだい等)を聞くことで「私はこの人のことが好きだから頼み事を聞いてあげるんだ、小さな頼み事だから聞いたわけではない」と一貫性の原理が働き、最終的には大きな頼み事(焼肉を奢って等)を聞いてしまうのです。

名前の通り、「足(小さな頼み事)をドアに挟んで、体(大きな頼み事)を家に入れてもらう」が由来となっています。

ローボール・テクニック

最初に好条件を提示して、相手がその好条件に飛びつき承諾した後に、好条件を取り除いたり、悪条件を追加するテクニックです。

好条件(無料でプレゼント等)に魅了されて承諾した後に、悪条件(ただし、あるコースを1年間契約する必要がある)を追加があった場合、「私は好条件だから承諾したのではない、本当にこの契約が魅力的だから承諾したんだ」と一貫性の原理が働き、冷静な判断が出来なくなってしまうのです。

名前の由来は、ハイボール(高めのボール)をいきなり投げても取る事が出来ないが、ローボール(低めのボール)から少しずつ高さを上げていけば、ハイボールも取る事ができる、という事から来ていると言われています。

まとめ

  • 一貫性の原理とは、自分の言動に対して、一貫した態度をとりたいという心理である。
  • 一貫性は、利便性に優れている。
  • 自分の意見を何がなんでも主張することは、一貫性の原理に支配されている。
  • 一貫性の原理は「フット・イン・ザ・ドア」「ローボール・テクニック」にも使われている。