【カチッ・サー効果】○○を意識すれば、相手を操れる

ナメリーヌ
ううう・・・みんな、僕のお願いを聞いてくれない
ヒカリ
ある事を意識すれば、お願いを聞いてくれる確率がグッと上がるよ

仕事というものは一人では完結できず、皆で協力して進めていかなければなりません。

そもために相手に自分の要求を呑んでもらって、無駄なく進めることが理想ですよね。

今回は、カチッ・サー効果を利用した、相手を操る手法を紹介します。

カチッ・サー効果とは?

カチッ・サー効果とは、外からの働きかけによって、思考停止して無意識に行動を起こしてしまう心理です。

「カチッ」とボタンを押すと、「サー」とテープは流れ出す。

ちと古いですが、名称の由来はこのような事から来ています。

「連合の原理」を利用した具体例を一つ挙げておきます。

モーターショーなどで新車の発表を行う際に、車の横に美女が立っている時がありますよね。あれもカチッ・サー効果を狙ったものです。

美女と車は、本来は全く関係のないものです。しかし、無意識のうちに人は、美女と車を結びつけ、美女に抱いた印象を車にも抱いてしまうのです。

発表された車に対して、「綺麗である」というイメージを植え付けさせるために、美女を発表された車の横に立たせるのです。

美女と車→「カチッ」 美女=綺麗=車→「サーッ」

○○を意識すれば、相手を操れる

○○に入る言葉は「理由」です。なんでもいいので理由をつければ、相手はこちらのお願いを聞いてくれます。

心理学者のエレン・ランガーが行った実験によると、図書館でコピー機の順番待ちをしている際に前に並んでいる人に「コピーをとらせてくれませんか?」と普通にお願いした場合と、「コピーをとらせてくれませんか? 急いでいるので」と「お願い+理由」でお願いした場合の成功率はそれぞれ以下の通りだそうです。

・「コピーをとらせてくれませんか?」60%

・「コピーをとらせてくれませんか? 急いでいるので」94%

なんと、1.5倍もの効果が出ています。

しかし、この実験の衝撃的なところは、人々が「急いでいるので」という言葉に反応して、順番を譲ってくれたことではありません。

エレン・ランガーは、3つめの頼み方を行っておりました。

それが「コピーをとらせてくれませんか? コピーをとらなければいけないので」です。

もはや、コピーをとりたい理由にさえなっていません。よく考えると意味不明です。しかし、このお願いで93%のもの人が順番を譲ってくれました。つまり順番を譲ってくれた人は、「ので」という部分だけに反応していたのです。

まさに思考停止ですね。

参考文献:ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第三版]』

相手の誘導に騙されない

カチッ・サー効果をどう活用していくか。先述した通り、お願いをする際は、「お願い+理由」を意識しましょう。

また、相手がこの心理効果を悪用してきた際への防衛手段を日頃から考えておきましょう。

例えば、フリマサイトでよくこんなやりとりが見られます。

「こちら○○円にお値下げできませんか?子供が欲しいと言っているもので」

「わかりました!お子さんのためにそれで合意します」

「子供が欲しいと言っている」事は、「値下げしなければならない」理由にはなりません。意味不明なやりとりですが、お願いする側は、カチッ・サー効果を意識してお願いしているのでしょう。(または、無意識にその効果に気づいている)

このようなお願いをされた時には、クリティカル・シンキング(批判的思考)によって、相手の要求を呑むべきか、否か、自分の頭で考える事が重要です。

よく考えずにサーっと流されてしまうと、思わぬ損害に繋がりますよ。

思考の近道に利用する

カチッ・サー効果は、思考の近道にも利用できます。

私たちが生きている現代は、非常に変化が激しい環境であるため、一つ一つをよく考えて行動していたのでは到底間に合いません。

なので、あえて「カチッ・サー効果で物事を判断する」ことで思考の近道になります。

例えば、「カチッ」を「上司の機嫌が良い」とした場合、「サー」を「承認が必要な書類を見せにいく」としておけば、理不尽な目に遭うことも少なくなります。

まとめ

  • 働きかけによって、無意識に行動を起こしてしまう心理である。
  • なんでもいいので理由をつければ、相手はこちらのお願いを聞いてくれる。
  • 相手がこの心理効果を悪用してきた際への防衛手段を日頃から考えておく。
  • 思考の近道にも利用できる。